52ヘルツのクジラたち
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」読了しました。
本屋大賞2021ノミネート作、2020読書メーター総合1位、王様のブランチBOOK大賞1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第4位と数々の賞を受賞しており、多くの人に読まれている作品です。
私自身、題名や表紙だけではどんな話か想像できず、今年の本屋大賞ノミネート作で1番どのような内容の本か分からない作品でした。
~こんな人に読んでほしい~
・暗い展開に抵抗感がない
・人と人との関わりが深い作品が好き
・孤独感に苛まれることがある
~感想~
最初、この作品を読んでいて抱いた印象は「展開が暗すぎる…。」でした。
孤独の中生きてきた主人公・喜湖と、虐待を受け、孤独に生きてきた少年の物語なのですが、生い立ちが凄まじく、10ページほど読んでは休息していました…(笑)
52ヘルツのクジラたちのキーワードは「孤独」だと思います。
52ヘルツのクジラとは、鳴き声の周波数が異常に高いクジラ。
ほかのクジラには52ヘルツの鳴き声が聞こえず、いくら呼びかけても仲間には声が聞こえない「世界で一番孤独なクジラ」だそうです…。
この52ヘルツのクジラを喜湖は自分自身と重ね、私自身の鳴き声を誰かに届いてほしいと願っていた過去があります。
自分の人生を家族に搾取されてきた喜湖は、虐待を受け喋ることができない少年と出会い、シンパシーを感じ匿うのですが…。
法的には許されず、仕事もしていない喜湖にはどうしようもできず。
施設へ引き渡すことも考えるが、その行動は少年の52ヘルツの声を聴いたことになるのか…。どうすれば少年のためになるのかを模索していきます。
この物語は喜湖の過去の話と少年をどうするかの話、2つの軸で構成されています。
話が進むにつれて、喜湖の過去が少しずつ明かされていくのですが、その明かされていくテンポがほどよく、暗い気持ちになりながらも引き込まれていきます。
暗い展開が続く中で、喜湖を助けてくれる温かい人たちの優しさ・思いやりが良い一層身に染みて感じることができます。
私も周囲の人々のように、52ヘルツの声に耳を傾け、手を差し伸べられる人になりたいと強く感じました。
~印象的な文章~
「どうしてそんな、刃のような言葉を振りかざせるのだ。その刃でひとは傷つき、血を流すことが分からないのか。」
このシーンは喜湖が、虐待を受けている少年の母親に会い、少年に対する暴言に感情を表す場面です。
本当に読んでいてムカつく母親で、少年に対する罵詈雑言に飽き飽きします。
しかし、この母親ほどの暴言は吐かないにしても、日常生活で知らない間に、刃のような言葉を振りかざしていないかとドキリっとしました…。
言葉によって、人をどれほどまでに傷つけてしまうのか考え直すことができた文章です。
本屋大賞ノミネート作6冊目に読んだのですが、どの作品とも違うテイストな内容だったと感じました。
今、話題筆頭の本作をぜひぜひ手に取って読んでみてください!!
|