この本を盗む者は
深緑野分著「この本を盗む者は」読了しました。
深緑野分さんの作品は今作が初めての作品だったのですが、ずっと読みたいと思っている「戦場のコックたち」は積読しております…汗
過去作には本屋大賞ノミネート作品や直木賞候補作品もある、今話題の作家です。
~感想~
久しぶりの長編ファンタジー作品ということもあり、最初は世界観に浸るのに苦労しました…。
しかし、中盤〜終盤にかけてはこの作品の世界観の虜になり、ページをめくる手がとまらなくなるほど没入してました!
本の街、本の館で本の蒐集家である曾祖父をもつ高校生の深冬は、本が好きではない。周囲からは本好きであると勝手に思われ、飽き飽きしています。
本の館である御倉館は、曾祖父一族以外立ち入り禁止!! そんな御倉館で蔵書されている本が何者かに盗まれ…。
本作は主人公・深冬がブックカースという呪いにより、あらゆる本の世界に閉じ込められる展開で進行していきます。
ブックカースの呪いを解く方法は一つ、本を盗んだ犯人を捕まえ、本を見つけること!!
各章ごとに、冒険小説の世界やハードボイルドの世界、銀の竜が出現する世界など本の世界へ入り込むのですが、現実世界の住人が本の中のキャラクターへと変化する描写は面白かったです。
深緑野分さんの作品は初めてだったので、独特の言い回しやファンタジー小説特有の表現が多く、読むのに苦労する人は多いだろうなと感じました。
正直、好き嫌いが分かれる作品だろうなと感じます。
全5章で構成されており、4章までは深冬が本の世界で冒険させられる話を軸に展開されていきます。最終章では4章までの謎や真実を知らされる内容となっており、伏線回収や結末への運び方が絶妙だと思いました。
~印象のある文章~
「それは、深冬ちゃんが゛今読むべき本に呼ばれた” んじゃないのかな」
このセリフは本の帯にも書かれているくらい、作品を象徴するものだと思います。
私も先日、購入する本を決めずに本屋へふらっと行ったのですが、あまり買わないジャンルの本がすごく気になり、購入しました。その時に、上記のセリフを思い出し、本に呼ばれるってこういうことかと実感してしまいました(笑)
この作品は皆さんにおすすめ!!っというよりも、ファンタジー小説に挑戦したいっという方におすすめしたい1冊です。
気になった方はぜひ読んでみてください!
|