木曜日にはココアを
皆さんこんにちは!
青山美智子著「木曜日にはココアを」読了しました。
青山美智子の作品を読んだのは、以前に書評した「お探し物は図書室まで」以来です。
「木曜日にはココアを」は青山美智子さんのデビュー作であり、第1回宮崎本大賞を受賞されています。
青山さんの作品は、そっと寄り添ってくれる言葉がたくさんちりばめられており、今作でも温かい読後感を味わさせてくれます。
~こんな人に読んでほしい~
・休日に気楽に読める作品をさがしている
・短編小説が好きで、通勤・通学や就寝前など短い時間に読める作品が欲しい
・心温まる物語が大好き
~あらすじ~
桜並木のそばにある喫茶店「マーブルカフェ」
マーブルカフェで提供される一杯のココアから始まり、東京とシドニーをつなぐ12人の物語がはじまる-
12編で綴られるバトンリレー方式の展開で進行していきます。
~感想~
今作は心温まる物語ばかりで、急展開がありません。
作中、心にスーッと溶け込んでくるようなフレーズが多く、優しい気持ちにさせてくれました。
最初はマーブルカフェの店員視点から話が進行し、1章終えるごとに主人公が変わっていきます。その主人公は前章の登場人物となっており、「次は誰が主人公になるのか…?」ワクワクしながら読んでいました。
特に、私個人的なお気に入りは4章と12章
4章では、30代半ばの独身女性2人組のうち1人が結婚することになる話です。
「自分が非常識だと思っていたことでも、違う角度から見たら常識になることがある」というシーンには虚をつかれました。
「物事を多角的に視る」ということが苦手な私自身に語られているような気がして、このシーンを肝に銘じておこうと思います(笑)
12章では主人公はネタバレになるので伏せますが……。
締めの章にふさわしい展開でした。1章や他の章での伏線を回収されており、気持ちの良い読後感を体験することができました。
青山美智子さんの作品は2作品読了し、セリフだけではなく風景や心情の文体の温かさが魅力だと感じました。
心がすこし荒んだ時に読むとすごく浄化され、青山さんの作品は「心の処方箋」と勝手に命名しています(笑)
~お気に入りの文章~
「正しい謙虚さというのは正しい自信だし、本当のやさしさは本当のたくましさじゃないかしら。」
この文章は6章の主人公である老夫婦の話で出てくる文章です。
どんな目上の人にもぺこぺこせず、年下の人にも威張ることなく謙虚な姿勢は、自信がある人にしかできないこと。
実直で謙虚でいることの難しさを大人になった今、感じる私には心に深く突き刺さったフレーズです。
青山美智子さんの作品は他にも「猫のお告げは樹の下で」や「鎌倉うずまき案内所」、「ただいま神様当番」があり、気になる作品ばかりです。
また、手に取ってみようと思います!
せひ皆さんも心の処方箋、青山美智子さんの作品を読んでみてください。
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