igaiga’s diary

20代独身男性の本や映画の紹介、日常の出来ごとを記す日記。アウトプットできるよう奮闘中!!

苦しかったときの話をしようか

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皆さんこんにちは!

 

森岡毅「苦しかったときの話をしようか」読了しました。


森岡毅さんは戦略家・マーケターをしており、USJを赤字からV字回復させた人物
今作は、森岡さんがこれから就活に直面する長女に書きあてた、愛ある冊子を書籍化したもの。


資本主義社会とは? 自分の強みとは? 自分をマーケティングする重要性とは?


キャリアに関して、自分の適性について、多くの情報を網羅している1冊です。

 

~こんな人に読んでほしい~

・これから就活を控えてる人

・キャリアに関して悩んでいる人

・自分の強みが分からなくて悩んでる人

 

 

~感想~

この本すごいです…!
キャリアに悩んでいる人、全員におすすめしたい一冊になっています。

 

全6章で構成されており、
1章:やりたいことが分からない人へ
2章:資本主義社会とは
3章:自分の強みとは
4章:自分をマーケティングする
5章:森岡さんの苦しかったときの話
6章:弱さとどう向き合うか

それぞれ長女へ向けた文章で書かれているので、厳しくも優しい文章であふれています。


特に私がこの本で学んだことは、第2章で出てくる"パースペクティブ"を拡大させる重要性
"パースペクティブ"とは、本人が認識できる世界


親がサラリーマンの子供は、まじめなサラリーマンで一生暮らすことがパースペクティブとなっており、自分が知っている世界の外側を認識することができないと述べています。

資本主義社会とは資本家が得をする社会、サラリーマンを働かせて資本家が得をする社会であると記述されており、衝撃を受けました。

私自身、資本主義社会では雇用される側なので、資本家になれるという考えを拡大させたパースペクティブを持ち合わせていませんでした。

 

5章では森岡さん自身の苦しかったときの話を中心に述べられているのですが、感慨深い内容が盛りだくさんです。
大企業のP&Gに入社した森岡さんは、必ず成功しないと分かっているプロジェクトのリーダーを務めることになります。
部下や顧客相手に成功しないと分かっている企画を提案しないといけないつらさ・過酷さ…。
私の想像を絶するものだと感じました。

 

森岡さんはこの体験を通して、2つの学びを得たと述べています。

Congruency(信念と行動の一致)の大切さ
自分自身が持っている信念と実際の行動が結びつかないと、人は自分の存在価値がないように思え、パワーダウンが甚だしいと述べています。
しかし、今のサラリーマンの通勤時間を見ていると、死んだ目をしながら通勤している人が数多くいて「諦めている」人が多く、私自身もその一人だとギクッとしました…。


結果を出さないと誰も守れない

森岡さんは失敗を通して、ナイスな人になることはやめようと決心したそうです。
たとえ厳しく、同僚から罵詈雑言を言われても「結果を出す人」にこだわりを持つようになったと述べています。

この2つの教訓は本当に心に刺さりました。
私自身、良い人でいようと無意識的に行動していたと思います。
このままでは中身のない人間になってしまうと気づくことができた教訓です。

 

まだまだ、書き綴りたい内容が盛りだくさんの1冊です。

キャリアに悩んでいる方、働き方に悩んでいる方はぜひ手に取っていただきたいです。

 

 

 

本と鍵の季節

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皆さんこんにちは!

 

米澤穂信著「本と鍵の季節」読了しました。

 

米澤穂信さんは古典部シリーズ、小市民シリーズなどミステリー作品を中心に執筆されています。
米澤さんといえば青春ミステリー
高校生特有の感情を描写するのが絶妙な方だと個人的に思います。
私自身、古典部シリーズの作品はすべて読了しており、
今作は刊行された時から読むのを楽しみにしていた作品です。

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・ミステリー小説初心者

・通勤や通学でも読める短編でのミステリー

・青春小説が好き

 

 

~感想~

 

今作は全7編のミステリー短編小説
題名の通り、全章通して本や鍵にまつわる話が盛り込まれています。

 

舞台は高校の図書室、図書委員に所属している2年生の堀川次郎と松倉詩門。
この2人が絶妙な掛け合いをしながら、開かずの金庫、テスト問題の窃盗事件、亡くなった先輩が最後に読んでいた本についてなど…
様々な出来事を解決していくストーリーとなっています。

 

氷菓」など古典部シリーズが好きな人はすごく好みな内容だと思います。
私はミステリーが少し苦手であまり読んでこなかったのですが、
今作は青春小説の要素も強く、ミステリー特有の伏線を回収していく爽快感も味わうことができる作品で楽しく読み進めることができました。

 

特に好きな話は第2章の「ロックオンザロッカー」
堀川と松倉は割引きされるということで、2人で堀川が行きつけの美容室へ髪を切りに行くことになりました。
普段は接客する姿を見かけない店長に対応されたり、普段と様子の少し違う店内。
その美容室では、荷物は鍵付きのロッカーに入れることになっているのですが、店長に「貴重品は、必ず、お手元にお持ちくださいね」と念を押されます。
少しおかしいと感じた2人は、推理をしていきまさかの展開へ発展していきます。

 

 日常に潜んでいる事象をミステリー調で解決していく感じがとても好みでした。
ミステリーは登場人物が多くて覚えられない・読み切る気力が続かないという方にとてもオススメな1冊です。

 

 

~印象的な文章~

「器物破損を試みる松倉は間違っていて、不満を心に留めるだけの僕の方が社会的に正しい。けれど僕は、松倉が妬ましい。」

 

堀川が松倉に対して、松倉の大胆さ・潔さに羨ましく、妬みを露わにするシーン
私も堀川のように大胆な考えを持つ人に会うと、羨ましく思ってしまうことが多いです。
この微妙な感情を上手く作中に表してくれており、私自身が持っているモヤモヤを昇華してくれました。

 

 

男子高校生2人のやりとりも絶妙に描かれており、ミステリー要素だけでなくても面白い作品でした。
ぜひ、興味がありましたら手に取って読んでみてください!

 

 

 

おしまいのデート

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皆さんこんにちは!

 

瀬尾まいこ「おしまいのデート」読了しました。

 

瀬尾まいこさんの作品は今回で2作目、「そして、バトンは渡された」を前回は読み終えたのですが、2作品で共通しているなと思う部分を発見しました。

 

それは、嫌な登場人物が出てこないこと!

瀬尾まいこさんの作品は全編を通して、登場人物全員人間味があり、温かい雰囲気がまとわれている印象です。

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・温かい雰囲気を味わえる短編が読みたい

・日常生活に少し疲れ、心が浄化されたい

・ライトに読めるも、心に刺さる作品が読みたい

 

 

~感想~

 

今作は5編からなる短編小説。

祖父-孫、教師-元不良生徒、OL-大学生、保育士-園児、男子高校生-男子高校生といった、様々なデートを題材にした作品です。

恋愛要素的なデートではなく、人と人とのつながりを強く感じさせてくれるデート、すごく素敵だと感じました。

 

特に私が好きな章は、教師-元不良生徒のデートを題材にした「ランクアップ丼」

元不良生徒の三好は、母子家庭で一人になることが多く食生活が乱れていた。

ある日、隣のクラスの生徒とけんかをしてしまい大事になったとき、教師の上じいが定食屋へ連れて行ってくれます。その時に頼むのは必ず「玉子丼」

それから、三好がなにか問題を起こすと必ず定食屋へ連れていき玉子丼をご馳走してくれるようになります。

 

三好の就職が決まり、上じいが注文したのは天丼。

最後の晩餐と称し、三好の旅立ちを祝って天丼をご馳走しお別れするのですが就職した後、三好は給料日に上じいへ玉子丼をご馳走します。

上じいは三好へ玉子丼をごちそうした回数を覚えており、借りを返してもらうときまで毎月給料日にご馳走してもらう約束をし、借りが返し終わりそうなときがきて…。

これ以上になるとネタバレになってしまうのですが、この温かく、玉子丼を通じて2人をつないでる関係性がすごく好みでした。

 

他の章も様々なデートが描かれており、読んでいて心に栄養がしみわたっていく感覚になります。

 

 

 

~印象的な文章~

 「ひゃあ面倒くさい。男同士って最高じゃん」

 

この文章は、男子高校生同士のデートを題材にした「ファーストラブ」で出てくる文章。

女性とデートをする際は、気を使ってしまい楽しむことができないモヤモヤ、男子同士で遊ぶ楽しさを素直に描写しています。

私はこの感情を「高校生の時に感じていたものそのものだ!!」

と感動してしまいました。

瀬尾さんは女性の作家であるのに、この男子が抱く独特の感情を描くのが上手で感嘆しました。

 

 

「おしまいのデート」を読み終えて、大切な人との時間を大切にしていきたいと改めて感じさせてくれる作品でした。

ぜひぜひ、興味がある方は手に取ってみてください!

 

麦本三歩の好きなもの

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皆さんこんにちは!

住野よる「麦本三歩の好きなもの」読了しました。

 

住野よるさんは「君の膵臓を食べたい」や「かくしごと」などの代表作があり

話題沸騰中の大人気作家ですね。

 

今作は本屋で第二集の新刊が並べられていた時から気になっていた作品

今回ようやく読了できましたので紹介させていただきます。

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・何気ない日常を楽しくさせてくれる作品が読みたい

・ライトに読める短編集が好き

・個性的なキャラクターが好き

 

 

 

~感想~

 

主人公は図書館勤務の20代女子-麦本三歩-、毎日仕事をしながら何も起こらない日々を過ごしている。

最初は「あっ…このキャラクター苦手かも」と感じました。

天然な性格で、一言でいうとどんくさい性格。

周囲から心配されつつも、かわいがられるポジションに少し嫉妬心が芽生えました。

しかし、この物語を読み進めていくと、三歩は三歩なりに悩んだり日々の出来事に葛藤しながら生きている姿が見え、許せるようになっていました。

 

 

 

「麦本三歩は〇〇が好き」

各章の題名がこのような形で表記されており、自己肯定感を高めているようなフレーズが大好きです。

 

全12章のうち、私が好きな章は「麦元三歩はモントレーが好き」

この章では三歩がズル休みをしてしまい、自己嫌悪に陥ってしまう話です。

同僚の一人である、”おかしな先輩”は唯一、三歩がズル休みをしたことを知ったのですが…。

おかしな先輩は三歩のことを「好きじゃない」とはっきり言うシーンがあるのですが、このおかしな先輩のセリフには共感してしまいました。

 

「三歩だから許されてきたことって、あるでしょ?」

社会経験がある方なら感じたことがあるんではないでしょうか。

あの人は許されやすい性格をしているな…と。

私自身、感じたことがあるのでおかしな先輩のセリフには大いに共感しました。

 

 

~印象的な文章~

「ずるいことしたり、人に嘘をついたり、でも生きていかなくちゃいけなくて、自分をそんな嫌な奴だと思いたくなくて、だから他人をたっぷり甘やかして、そのかわり甘やかしてもらって、必ずちょっとだけ反省して、生きていくしかないんだと思うよ。」

 

大人はズルしたり、少し悪いことをしたり、スレながらも一生懸命生きていくものだと思います。

ズルは悪いことではありますが、きちんと自覚して生きていくことで成長していくことが重要なのだと思います。

 

 

ライトに読める作品でしたが、印象に残るシーンが多い作品でした。

ぜひ、気になる方は手に取ってみてください!

 

 

 

 

 

「ない仕事」の作り方

 

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皆さんこんにちは!

みうらじゅん「ない仕事」の作り方  読了しました!

 

今回紹介する本は、2021年本屋大賞の発掘部門「超発掘本!」を受賞した作品

本のタイトルをみただけでは、おそらく手に取らなかった作品だと思います…。

本屋大賞のノミネート作は読んできたのですが、発掘部門は今までスルーしてきました。

今回は読了した方たちの評判が良かったので購入しました。

 

私自身、みうらじゅんさんのことを知らなかったのですが、すごく面白い方ですね!

この本は「ない仕事」を作り上げる方法論が書かれていると思っていたのですが、

みうらじゅんさんの個性的な考え方を覗き見している気分でした。

今作では、みうらじゅんさんの「ない仕事」を作り上げる方法やマインドを学ぶことができます。

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・個性的な人の脳内を覗き見してみたい

・クリエイティブな職に就いている

・生活をしていて、生きづらさを感じている

 

 

~感想~

 

皆さん「ない仕事」って何だと思いますか?

みうらじゅんさんは、「マイブーム」「ゆるキャラなど新しい概念を作り上げ、世の中に流行させる仕事をしています。

この世に知られていない、名前が付けられていないものに名前を付けて、世の中に浸透させる仕事が「ない仕事」だそうです。

 

特に「ゆるキャラ」は日本のみならず、海外にも拡散されており、日本人なら誰しもが知っているコンテンツだと思います。

みうらじゅんさんが流行させる前は、妙な「着ぐるみ」が県のイベントなどで哀愁たっぷりに佇んでいたらしいです(笑)

その妙な着ぐるみに、みうらじゅんさんは愛着が湧き、「ゆるキャラ」と命名

一人で雑誌やイベント会社にプレゼンし、世に送り出すよう企画・営業・接待を一人で行ったそうです。

 

この「ない仕事」を手掛けるにあたり、みうらじゅんさんが大切にしている考え方・方法を紹介しており、私が好きな考え方を紹介しようと思います。

 

 

「そこがいいんじゃない」精神

人はよくわからないものに対して、すぐに興味がない態度をとり「つまらない」と反応しがちです。

「ない仕事 」を作り上げる際はこの「つまらない」を「つま…」くらいで思いとどめ、「そこがいいんじゃない!」と全肯定し、普通の自分を否定することが重要だそうです。

私は否定から入ってしまう考え方をよくしてしまうので、この「そこがいいんじゃない!」と全肯定することは大事な考え方だと思います。

 

 

重い言葉をポップに~親孝行プレイ

みうらじゅんさんは「ない仕事」を作る際、世間ではマイナスにされているものを如何に「ポップ」に考えることが重要かを考えています。

例としてあげているのが「親孝行」という言葉。

親孝行は感謝の気持ちはあるけれど、仕事が忙しくなかなかに会えない、いざ会うとなると何だか照れくさいと感じ、「重い」人間関係のように感じると思います。

 

この重たく感じたりする言葉には「ブーム」「プレイ」といった言葉を付け加えると、楽しい気持ちになり行動しやすくなるのではないかと三浦さんは語っています。

親孝行プレイ…確かに軽くなったかんじがしますね(卑猥だとは思わないでください笑)

私自身も嫌なことがあったり、したくないことをしないといけないときは、仕事プレイ、掃除プレイ、勉強プレイ…。

心の中で唱えてみようと思います!

 

 

久しぶりに物語ではないジャンルの本を読んだのですが、エッセイのような本は人の頭を覗き見しているようで楽しかったです。

みうらじゅんさんの考え方は「現代社会を生きやすくしてくれる」と感じました。

気になった方はぜひ手に取ってみてください!

 

 

 

 

 

 

 

ドキュメント

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皆さんこんにちは!

 

湊かなえ「ドキュメント」読了しました。

 

「ドキュメント」は以前書評した「ブロードキャスト」の続編、

高校の放送部が舞台の作品で、湊かなえさんの作品では珍しい青春小説です。

湊かなえさんといえばイヤミスですが、今作ではイヤミスは全くないのでミステリー好きにはおすすめしません(笑)

 

igaigadiary.hatenablog.com

 

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・前作の「ブロードキャスト」を読んだことがある

・青春小説が好き

・放送部の活動がどんなものなのか興味がある

 

 

~感想~

 

今作は、「ブロードキャスト」の続編で3年生が退部した後の放送部が舞台。

前作ではあまり絡みがなかった2年生とドキュメント部門の作品を作り上げていくことがメインのストーリーとなります。

 

前作の主人公は、事故のせいで陸上部へ入部できない過去を持つため、陸上部となるべく関わらずに生活していました。

しかし今作では、陸上部を主人公自身が取材するという、トラウマと対峙させられる設定となっています。

私が主人公の立場なら、即刻断りそうですが…(笑)

作中の主人公は前作よりも人間的に成長しており感動ものです。

 

特に印象深かったのはドローンの撮影を取り入れているところ!

ドローンの撮影の描写は迫力があり、実際に飛んでいるところを想像しながら読み進めていました。

また、ドローン撮影をきっかけに事件が勃発し、放送部が危機的状況に晒されるのですが、事件の犯人捜しをする展開はさすが湊かなえさん。

しっかりとミステリー要素も加えており、今作のスパイスとなっています。

 

 

~印象的な文章~

「結果を出せなかった時に、自分を価値のない人間のように感じることが、かな」

 

これは、同じ1年生の部員との会話で出てきたセリフ

交通事故のせいで陸上をあきらめ、放送部へ入部したこと。

放送部の活動に熱中できそうだけど、そうするのが少し怖い主人公の描写はすごく人間らしい感情だと感じました。

熱中したいけど熱中することへの恐怖に共感し、印象深かったです。

 

 

 

正欲

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皆さんこんにちは!

 

朝井リョウ「正欲」読了しました。

 

朝井リョウの10周年記念として書下ろされた作品。

読書好き界隈の中では話題沸騰の作品であり、評判がすごく良かったので今回購入しました。

 

はじめて朝井リョウさんの作品を読了したのですが、文体が現代的で、とても読みやすかったです。

心へ深く突き刺さるメッセージ性があり、考えさせられる作品でした。

「何者」など他の朝井リョウ作品も気になるのでまた購入してみようと思います。

 

 

~こんな人に読んでほしい~

・「多様性」や「アイデンティティ」など現代的な問題について考えたい

・人間味(人の裏の黒い部分含め)あふれる作品を読みたい

・この日本社会に生きづらさを感じたことがある

 

 

~感想~

 

圧巻!!

この2文字に尽きる作品だと思います。

 ”多様性”や”マイノリティ”など、現代的な問題を提示してくれており、終始考えさせられました。

 

この物語は、最初にある事件の記事が提示され、

不登校の小学生の息子を持つ検事・啓喜

初めて恋というものを知った女子大生・八重子

ある秘密を抱えて生きている寝具メーカー社員・夏月

この3名を軸に物語が展開していきます。

最初の事件が突拍子もなく出てくるので、最初は「え??」と困惑するのですが、読了後はスッキリしました。

 

 

「多様性」

ここ近年、マスメディアで何かと話題になっている言葉ですね。

昔からある黒人差別、最近ではLGBTQの問題も多く取り上げられるようになり、多様性を考えることは身近な問題となってきている印象です。

 

皆さんは多様性を本当に理解していますか?

「多様性を認める」という解釈の時点で、自分自身は多数派に所属し、この世界は多数派により構成されていると気づかされました。

 

理解できないもの・恐怖となる少数派は排除すべきと考えられる社会。

多数派が住みやすいと感じる社会。

これが本当に多様性を認める社会なのか?少数派を認めているつもりで排除している社会、これが正義なのか?

深く考えさせられるテーマでした。

 

 

~印象的な文章~

「自分はまともである、正解であると思える唯一の依り所が”多数派でいる”ということの矛盾に」

 

 ”マジョリティ-多数派-”に属しているということが、まともであるとされている現代。

しかし、「多数派で居続けること」とは不安が根幹にあるのではないかと述べており、すごくしっくりきました。

マジョリティでいることで、まともだとされる世界なら、私はまともでない人間で構わないと感じます。

 

 

今作は深いテーマの作品であったため、少し気難しい記事になったのではないかと反省しています…。

本の帯に書かれている通り、読む前の自分には戻れない圧巻の物語でした。

ぜひぜひ手に取っていただきたい1冊です。