おしまいのデート
皆さんこんにちは!
瀬尾まいこ「おしまいのデート」読了しました。
瀬尾まいこさんの作品は今回で2作目、「そして、バトンは渡された」を前回は読み終えたのですが、2作品で共通しているなと思う部分を発見しました。
それは、嫌な登場人物が出てこないこと!
瀬尾まいこさんの作品は全編を通して、登場人物全員人間味があり、温かい雰囲気がまとわれている印象です。
~こんな人に読んでほしい~
・温かい雰囲気を味わえる短編が読みたい
・日常生活に少し疲れ、心が浄化されたい
・ライトに読めるも、心に刺さる作品が読みたい
~感想~
今作は5編からなる短編小説。
祖父-孫、教師-元不良生徒、OL-大学生、保育士-園児、男子高校生-男子高校生といった、様々なデートを題材にした作品です。
恋愛要素的なデートではなく、人と人とのつながりを強く感じさせてくれるデート、すごく素敵だと感じました。
特に私が好きな章は、教師-元不良生徒のデートを題材にした「ランクアップ丼」
元不良生徒の三好は、母子家庭で一人になることが多く食生活が乱れていた。
ある日、隣のクラスの生徒とけんかをしてしまい大事になったとき、教師の上じいが定食屋へ連れて行ってくれます。その時に頼むのは必ず「玉子丼」
それから、三好がなにか問題を起こすと必ず定食屋へ連れていき玉子丼をご馳走してくれるようになります。
三好の就職が決まり、上じいが注文したのは天丼。
最後の晩餐と称し、三好の旅立ちを祝って天丼をご馳走しお別れするのですが就職した後、三好は給料日に上じいへ玉子丼をご馳走します。
上じいは三好へ玉子丼をごちそうした回数を覚えており、借りを返してもらうときまで毎月給料日にご馳走してもらう約束をし、借りが返し終わりそうなときがきて…。
これ以上になるとネタバレになってしまうのですが、この温かく、玉子丼を通じて2人をつないでる関係性がすごく好みでした。
他の章も様々なデートが描かれており、読んでいて心に栄養がしみわたっていく感覚になります。
~印象的な文章~
「ひゃあ面倒くさい。男同士って最高じゃん」
この文章は、男子高校生同士のデートを題材にした「ファーストラブ」で出てくる文章。
女性とデートをする際は、気を使ってしまい楽しむことができないモヤモヤ、男子同士で遊ぶ楽しさを素直に描写しています。
私はこの感情を「高校生の時に感じていたものそのものだ!!」
と感動してしまいました。
瀬尾さんは女性の作家であるのに、この男子が抱く独特の感情を描くのが上手で感嘆しました。
「おしまいのデート」を読み終えて、大切な人との時間を大切にしていきたいと改めて感じさせてくれる作品でした。
ぜひぜひ、興味がある方は手に取ってみてください!