正欲
皆さんこんにちは!
朝井リョウ「正欲」読了しました。
朝井リョウの10周年記念として書下ろされた作品。
読書好き界隈の中では話題沸騰の作品であり、評判がすごく良かったので今回購入しました。
はじめて朝井リョウさんの作品を読了したのですが、文体が現代的で、とても読みやすかったです。
心へ深く突き刺さるメッセージ性があり、考えさせられる作品でした。
「何者」など他の朝井リョウ作品も気になるのでまた購入してみようと思います。
~感想~
圧巻!!
この2文字に尽きる作品だと思います。
”多様性”や”マイノリティ”など、現代的な問題を提示してくれており、終始考えさせられました。
この物語は、最初にある事件の記事が提示され、
不登校の小学生の息子を持つ検事・啓喜
初めて恋というものを知った女子大生・八重子
ある秘密を抱えて生きている寝具メーカー社員・夏月
この3名を軸に物語が展開していきます。
最初の事件が突拍子もなく出てくるので、最初は「え??」と困惑するのですが、読了後はスッキリしました。
「多様性」
ここ近年、マスメディアで何かと話題になっている言葉ですね。
昔からある黒人差別、最近ではLGBTQの問題も多く取り上げられるようになり、多様性を考えることは身近な問題となってきている印象です。
皆さんは多様性を本当に理解していますか?
「多様性を認める」という解釈の時点で、自分自身は多数派に所属し、この世界は多数派により構成されていると気づかされました。
理解できないもの・恐怖となる少数派は排除すべきと考えられる社会。
多数派が住みやすいと感じる社会。
これが本当に多様性を認める社会なのか?少数派を認めているつもりで排除している社会、これが正義なのか?
深く考えさせられるテーマでした。
~印象的な文章~
「自分はまともである、正解であると思える唯一の依り所が”多数派でいる”ということの矛盾に」
”マジョリティ-多数派-”に属しているということが、まともであるとされている現代。
しかし、「多数派で居続けること」とは不安が根幹にあるのではないかと述べており、すごくしっくりきました。
マジョリティでいることで、まともだとされる世界なら、私はまともでない人間で構わないと感じます。
今作は深いテーマの作品であったため、少し気難しい記事になったのではないかと反省しています…。
本の帯に書かれている通り、読む前の自分には戻れない圧巻の物語でした。
ぜひぜひ手に取っていただきたい1冊です。