かがみの孤城
皆さんこんにちは!
「かがみの孤城」は2018年の本屋大賞受賞作! 今年の3月に文庫化されて、本屋でも大きく展開されていますね。どこの本屋さんでも、ランキング上位で人気ぶりが伺えます。
辻村さんの他作品では、「ツナグ」は映画化されており、映画のみ観たことがあるのですが、すごく感動した作品だったことを覚えています。小説もいつか読もうと思います。
~あらすじ~
学校で居場所をなくし家で閉じこもっていた主人公・こころは、ある日突然部屋の鏡が光りだし、鏡の世界へ誘われます。そこには城のような建物とオオカミの面をつけた少女が待ち受けており、同じような境遇をもつ7人の少年・少女は集められていました。
城に隠されている"願いの部屋の鍵"を3月30日までに探し出すことで、願いをかなえることができるとオオカミ少女に告げられ、少年・少女たちの鏡の城での1年間の物語が始まります…。
~感想~
この本の第一印象は、「読みやすい!!」
文庫本を購入し、上巻411ページ・下巻365ページと計776ページある長編なのですが、物語に引き込まれ一気読みしてしまいました。
ファンタジー要素が強いので、世界観に入りにくい作品かな?っと構えて読んだのですが、鏡の世界と現実の物語がいい塩梅で展開されており、次の展開を早く知りたくなります。
鏡の城での鍵探しがメインストーリーになるのかと思いきや、主人公たちはあまり鍵探しには没頭しません。もはや、現実世界でのそれぞれの問題の方が印象深く感じました。
4月の最初の段階では、7人ともそれぞれの性格を探るような関係ですが、月日が経つにつれ親密な関係になっていき、各々の家庭や学校・環境の悩みが徐々に分かっていきます。この徐々に分かっていく感じが、ミステリーやファンタジー作品の醍醐味だと思います。
この物語のキーパーソンはもう一人、フリースクールである”心の教室”に所属する喜多嶋先生です。喜多嶋先生は、こころのそばに寄り添って、学校の問題を解決してくれようと奮闘してくれます。私自身、大人になったからこそ、手を差し伸べることにも勇気が必要なことがわかるので、喜多嶋先生のような寛大な心を持つ人になりたいと思いました。
辻村さんの作品の特徴であるそうなのですが、人と人のリンクが盛りだくさんに感じました。まさか、この伏線がこの人に関係していた!?っとハッとさせられる場面が多く散りばめられています。
そのため、読後感は爽快であり、終盤は感動する場面もあり、最高の読書体験を味わうことができました。
~印象のある文章~
「闘わなくても、いいよ」
「学校に行くことが正しい」、「学校に行かなくてはならない」と感じていたこころは、喜多嶋先生から上のように声をかけられます。
一般的には学校に行くことが正義とされる日本社会で、「闘わなくていい」と声をかけてくれる大人の存在はすごく大きいと思います。
喜多嶋先生のような優しさ・エンパシー能力を持てる人になりたいです。
久しぶりに長編ファンタジーに没頭し、本の楽しさを痛感する作品に出会えました。
終盤の展開にはドキドキしながら読むことができ、とても面白かったです。
ぜひぜひ読んでみてください!!
本屋大賞2021振り返り
皆さんこんにちは!
少し遅くなりましたが、本屋大賞が発表されましたね。
本屋大賞2021は町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」が受賞されました。おめでとうございます!!
ぜひ、書評記事を上げているので下のバナーから閲覧ください。
私は仕事終わりに本屋大賞発表の動画を見たのですが、町田そのこさんの受賞時コメントには感動しました…。
今年の本屋大賞は初めて実際に本を読み、ランキングを予想して楽しむことが出来ました。
個人的には「お探し物は図書室まで」が2位、「犬がいた季節」が3位と私自身の中の1、2位作品が大健闘していたので大変うれしく思いました!
本はそれぞれ好みの作風やジャンルが大きく異なるので、本屋大賞のおかげで普段読んでいるものと違うジャンルの本に触れる、いい機会ができて楽しかったです。
早くも来年が待ち遠しい…!!
最近は小説ばかり読んでいたので、久しぶりに自己啓発の本でも読もうかなーっと迷い中。
おすすめの自己啓発本があればぜひぜひコメント欄にて教えてください!!
個人的本屋大賞ランキングー3位~1位ー
皆さんこんにちは!
前回の記事では、第7位~4位までを記事にさせていただきました。
今回はベスト3を前回同様、超個人的に発表させていただきます!
では早速発表します!!
第3位は…
加藤シゲアキ著「オルタネート」
高校生限定のマッチングアプリという設定が最高に面白い!!
本でしか表現できないような描写が多くあり、本を読む楽しさをストレートに感じられる作品でした。
3名の主人公が各章ごとに順番に回っていく設定は読みやすく、終盤のストーリーの疾走感には圧巻です。
青春小説好きな私にはすごくおもしろい作品でした。
第2位は…
青山美智子著「お探し物は図書室まで」
司書の小町さんが仕事や将来に悩んでいる利用者に、レファレンスサービスを提供するお話を軸に進行していきます。
普段、仕事に悩んでる方やこれからの人生に迷いがある方は突き刺さる内容だと思います。
私も20代半ば、将来のことや仕事のことに悩むことがあるのですが、各章ごとの主人公に共感する内容で、「頑張ろう!!」と素直に思える作品でした。
そっと背中を押してくれる、おまじないのような言葉が多くあり、御守りのような本に出会えました。
栄えある第1位は…
伊吹有喜著「犬がいた季節」
第1位は「犬がいた季節」です!
王道の青春小説となっており、胸にキュンっとくるエピソードや熱くなる友情のエピソードがあり、青春小説好きにはたまらない作品でした。
高校で飼育している犬を中心に話が展開されていき、卒業していく学生を見送る描写は少し切なさを感じます…。
私個人的には1章の優花さんの話がすごくお気に入りです。
青春小説を普段読まない人にもオススメできる作品だと思います!!
皆さんは今年の本屋大賞はどの作品が受賞すると思いますか?
今回は本屋大賞ノミネート作の超個人的ランキングを発表しました。
やはり、本は人それぞれ好みが分かれるので順位をつけるのは難しかったです…。
明日の本屋大賞発表、皆さんで盛り上がっていきましょう!!
個人的本屋大賞ランキング ー第7位~4位ー
皆さんこんにちは!
本屋大賞発表までもうすぐですね。
私は今年のノミネート作は大賞発表までに7作読むことができました。(3作は間に合わず…)
今回は読了した7作の超独断・個人的本屋大賞ランキングを発表しようと思います。
読了した作品は…
・伊吹有喜著「犬がいた季節」
・青山美智子著「お探し物は図書室まで」
・宇佐美りん著「推し、燃ゆ」
・加藤シゲアキ著「オルタネート」
・凪良ゆう著「滅びの前のシャングリラ」
・町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」
・深緑野分著「この本を盗む者は」
この中から、個人的ランキング・本屋大賞の予想をしようと思います!
今回の記事では量も多くなるので、第7位~4位を発表させていただきます。
あくまでも個人的感想な点はご了承ください。また、各作品の詳細な感想は過去に書評記事を上げていますので、そちらを参照していただけると幸いです。
早速ランキングに入ろうと思います!!
第7位は…
宇佐美りん著「推し、燃ゆ」
この作品は芥川賞受賞ということもあり、すごく話題になりましたね。
私個人的には、芥川賞作品特有の読みにくさは感じられず、すごくライトに読めた作品でした。
ただ、表現が独特な箇所も数か所あり、物語に没入することがあまりできないまま読了してしまいました。私には難しかった……。
第6位は…
深緑野分著「この本を盗む者は」
最初、ノミネート作品一覧でこの本を知ったときはゴリゴリのミステリー作品だろう…と思っていました。
あまりミステリー作品が得意でないので、この作品は読むのをやめておこうと思っていたのですが…。皆さんのレビューをみて、ファンタジー作品ということを知り、すぐに買いに行きました(笑)
久しぶりのファンタジー作品だったので、読み始めてから半分くらいまでは物語の世界観に置いてけぼりな感じを味わいました…汗
しかし、中盤から後半にかけては読む手が止まらず、物語の世界観に没入するファンタジーの面白みが凝縮されていました。
これは読み手により、読後の感想が異なるだろうなと思います。
第5位は…
凪良ゆう著「滅びの前のシャングリラ」
前年、「流浪の月」で本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの作品です!
地球に隕石が衝突する日本が設定となかなかぶっ飛んだ設定だなと感じたのが最初の印象です。
隕石が衝突する直前の人間の細かな感情の表現が、さすが凪良ゆうさん!!
リアリティ溢れる心情を描かれており、本当に地球が滅亡すると日本は作中のようにパニックに陥っていくのだとハラハラしました。
第4位は…
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」
本屋大賞1位になると噂が多いこの作品が個人的には4位!!
孤独の中に生きる主人公と少年の話が中心なのですが、すごく暗い展開で進んでいきます…。その中に数少ない友人たちの優しさは心に刺さりました。
前年に本屋大賞を受賞した「流浪の月」と雰囲気やジャンルは似ているなと思います。
今回は7~4位の作品を発表させていただきました。
次の記事ではベスト3を発表させて頂こうと思います!!
この本を盗む者は
深緑野分著「この本を盗む者は」読了しました。
深緑野分さんの作品は今作が初めての作品だったのですが、ずっと読みたいと思っている「戦場のコックたち」は積読しております…汗
過去作には本屋大賞ノミネート作品や直木賞候補作品もある、今話題の作家です。
~感想~
久しぶりの長編ファンタジー作品ということもあり、最初は世界観に浸るのに苦労しました…。
しかし、中盤〜終盤にかけてはこの作品の世界観の虜になり、ページをめくる手がとまらなくなるほど没入してました!
本の街、本の館で本の蒐集家である曾祖父をもつ高校生の深冬は、本が好きではない。周囲からは本好きであると勝手に思われ、飽き飽きしています。
本の館である御倉館は、曾祖父一族以外立ち入り禁止!! そんな御倉館で蔵書されている本が何者かに盗まれ…。
本作は主人公・深冬がブックカースという呪いにより、あらゆる本の世界に閉じ込められる展開で進行していきます。
ブックカースの呪いを解く方法は一つ、本を盗んだ犯人を捕まえ、本を見つけること!!
各章ごとに、冒険小説の世界やハードボイルドの世界、銀の竜が出現する世界など本の世界へ入り込むのですが、現実世界の住人が本の中のキャラクターへと変化する描写は面白かったです。
深緑野分さんの作品は初めてだったので、独特の言い回しやファンタジー小説特有の表現が多く、読むのに苦労する人は多いだろうなと感じました。
正直、好き嫌いが分かれる作品だろうなと感じます。
全5章で構成されており、4章までは深冬が本の世界で冒険させられる話を軸に展開されていきます。最終章では4章までの謎や真実を知らされる内容となっており、伏線回収や結末への運び方が絶妙だと思いました。
~印象のある文章~
「それは、深冬ちゃんが゛今読むべき本に呼ばれた” んじゃないのかな」
このセリフは本の帯にも書かれているくらい、作品を象徴するものだと思います。
私も先日、購入する本を決めずに本屋へふらっと行ったのですが、あまり買わないジャンルの本がすごく気になり、購入しました。その時に、上記のセリフを思い出し、本に呼ばれるってこういうことかと実感してしまいました(笑)
この作品は皆さんにおすすめ!!っというよりも、ファンタジー小説に挑戦したいっという方におすすめしたい1冊です。
気になった方はぜひ読んでみてください!
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52ヘルツのクジラたち
町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」読了しました。
本屋大賞2021ノミネート作、2020読書メーター総合1位、王様のブランチBOOK大賞1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第4位と数々の賞を受賞しており、多くの人に読まれている作品です。
私自身、題名や表紙だけではどんな話か想像できず、今年の本屋大賞ノミネート作で1番どのような内容の本か分からない作品でした。
~こんな人に読んでほしい~
・暗い展開に抵抗感がない
・人と人との関わりが深い作品が好き
・孤独感に苛まれることがある
~感想~
最初、この作品を読んでいて抱いた印象は「展開が暗すぎる…。」でした。
孤独の中生きてきた主人公・喜湖と、虐待を受け、孤独に生きてきた少年の物語なのですが、生い立ちが凄まじく、10ページほど読んでは休息していました…(笑)
52ヘルツのクジラたちのキーワードは「孤独」だと思います。
52ヘルツのクジラとは、鳴き声の周波数が異常に高いクジラ。
ほかのクジラには52ヘルツの鳴き声が聞こえず、いくら呼びかけても仲間には声が聞こえない「世界で一番孤独なクジラ」だそうです…。
この52ヘルツのクジラを喜湖は自分自身と重ね、私自身の鳴き声を誰かに届いてほしいと願っていた過去があります。
自分の人生を家族に搾取されてきた喜湖は、虐待を受け喋ることができない少年と出会い、シンパシーを感じ匿うのですが…。
法的には許されず、仕事もしていない喜湖にはどうしようもできず。
施設へ引き渡すことも考えるが、その行動は少年の52ヘルツの声を聴いたことになるのか…。どうすれば少年のためになるのかを模索していきます。
この物語は喜湖の過去の話と少年をどうするかの話、2つの軸で構成されています。
話が進むにつれて、喜湖の過去が少しずつ明かされていくのですが、その明かされていくテンポがほどよく、暗い気持ちになりながらも引き込まれていきます。
暗い展開が続く中で、喜湖を助けてくれる温かい人たちの優しさ・思いやりが良い一層身に染みて感じることができます。
私も周囲の人々のように、52ヘルツの声に耳を傾け、手を差し伸べられる人になりたいと強く感じました。
~印象的な文章~
「どうしてそんな、刃のような言葉を振りかざせるのだ。その刃でひとは傷つき、血を流すことが分からないのか。」
このシーンは喜湖が、虐待を受けている少年の母親に会い、少年に対する暴言に感情を表す場面です。
本当に読んでいてムカつく母親で、少年に対する罵詈雑言に飽き飽きします。
しかし、この母親ほどの暴言は吐かないにしても、日常生活で知らない間に、刃のような言葉を振りかざしていないかとドキリっとしました…。
言葉によって、人をどれほどまでに傷つけてしまうのか考え直すことができた文章です。
本屋大賞ノミネート作6冊目に読んだのですが、どの作品とも違うテイストな内容だったと感じました。
今、話題筆頭の本作をぜひぜひ手に取って読んでみてください!!
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推し、燃ゆ
宇佐美りん著「推し、燃ゆ」読了しました。
この作品は2021年芥川賞受賞、本屋大賞2021ノミネート作と話題筆頭の作品です。
ショッキングピンクの表紙を本屋で初めて見たときは、派手なデザインで衝撃を受けました。
作者の宇佐美りんさんは現役大学生、過去作「かか」でも三島賞などいくつもの賞を獲得されています。
~こんな人に読んでほしい~
・推している人物や作品がある。
・文学的な表現が好き。
・本を読む時間があまりない。
~感想~
芥川賞受賞作は文学的表現が多く、難しいイメージを持っていたのですが、今作はすごく読みやすい作品だと感じました。
今作はリアルな会話が魅力の一つではないかと思います。最初の5ページほどで友人との会話が繰り広げられるのですが、その会話模様が学生時代の会話そのもので感嘆しました。さすが現役大学生…。
全体的にどんでん返しがあったり、急展開があったりはしないのですが、徐々に主人公が崩れていく様が描かれており、推しに依存しすぎる脆さ・儚さが切なく感じます。
特に家族との軋轢が徐々に深まっていく様子が印象的でした…。
全125ページで構成されており、読みやすいページ数というのも人気の理由だと思います。カバーを外すと全面的に推しのメンバーカラーである青色が使用されており、こだわりを感じます。
~印象的な文章~
何もしないでいることが何かをするよりつらいということが、あるのだと思う。
人は何かを「待っている」、目的地へ「移動している」という事実がある際、自分はちゃんと動いているという安堵感があると描写されています。
この文章を読んだ際、「もうその通り!!」っと心の中で昇華してくれました。
休日を部屋のベッドでゴロゴロと無駄に過ごした罪悪感を言語化してくれて、心のモヤっとしたのが少しスッキリしました。
芥川賞受賞の話題の本で、すごく読みやすい作品でした。
ぜひぜひ読んでみてください!!
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