推し、燃ゆ
宇佐美りん著「推し、燃ゆ」読了しました。
この作品は2021年芥川賞受賞、本屋大賞2021ノミネート作と話題筆頭の作品です。
ショッキングピンクの表紙を本屋で初めて見たときは、派手なデザインで衝撃を受けました。
作者の宇佐美りんさんは現役大学生、過去作「かか」でも三島賞などいくつもの賞を獲得されています。
~こんな人に読んでほしい~
・推している人物や作品がある。
・文学的な表現が好き。
・本を読む時間があまりない。
~感想~
芥川賞受賞作は文学的表現が多く、難しいイメージを持っていたのですが、今作はすごく読みやすい作品だと感じました。
今作はリアルな会話が魅力の一つではないかと思います。最初の5ページほどで友人との会話が繰り広げられるのですが、その会話模様が学生時代の会話そのもので感嘆しました。さすが現役大学生…。
全体的にどんでん返しがあったり、急展開があったりはしないのですが、徐々に主人公が崩れていく様が描かれており、推しに依存しすぎる脆さ・儚さが切なく感じます。
特に家族との軋轢が徐々に深まっていく様子が印象的でした…。
全125ページで構成されており、読みやすいページ数というのも人気の理由だと思います。カバーを外すと全面的に推しのメンバーカラーである青色が使用されており、こだわりを感じます。
~印象的な文章~
何もしないでいることが何かをするよりつらいということが、あるのだと思う。
人は何かを「待っている」、目的地へ「移動している」という事実がある際、自分はちゃんと動いているという安堵感があると描写されています。
この文章を読んだ際、「もうその通り!!」っと心の中で昇華してくれました。
休日を部屋のベッドでゴロゴロと無駄に過ごした罪悪感を言語化してくれて、心のモヤっとしたのが少しスッキリしました。
芥川賞受賞の話題の本で、すごく読みやすい作品でした。
ぜひぜひ読んでみてください!!
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